foop 開発秘話 vol.5
「foop 内側の秘密!」
2016年6月10日
第 5 回目は foop に命を吹き込み、実際に「動かし機能させる」ソフトウェア担当、T2T さんのお話です。
お話を聞かせていただいたのは台湾のベンチャー企業、T2T のArron さん。日本の IT 企業の役員もされていたという過去をお持ちです!従来のブラウザベースやアプリベースではなく、スマートフォンと foop 本体をダイレクトにリンクさせるための仕組みを開発しました。目には見えない内側の、人間でいう「脳」のような機械やネットワークがきちんと作動するためのシステム作りのプロです。来日中の Arron さんに foop の見えない「内側」についてお聞きしました。
【全く新しいプロダクトのシステム作りとそのチャレンジについて】
システムって目に見えなくどんなものなのか、今ひとつわかりにくいですよね。そこでまずは Arron さんが具体的にどんなことをされたか聞いてみました!従来の家電、例えば炊飯器や電子レンジは機能のシステム一式(CPU、PC)が機器の中に組み込まれています。そして各機能がわかりやすいよう、ボタンや小さいスクリーンなどがあり、文字による表示で使い方や機能がわかるようになっています。これに対し、foop は 8x8 のスクリーンに野菜の状態を表すアイコンは表示されますが、何を必要としているのか、文字での情報が本体のどこにも表示されない中、ユーザーにどう機能を理解してもらうか、またどうやってスマートフォンのアプリを本体とリンクさせるかがチャレンジだったそうです。炊飯器や電子レンジのようにどのボタンを押したらどうなるか、実際に使ったらどうなるかが予想できるものではなく、生き物が中で育って有機的に変化していくので、それをどうユーザーにわかりやすく操作できるようにするかが非常に大変だったとのことでした。…どのように解決していかれたか話は続きます
【鍵は農業を理解することから!】
プロブラミングやシステム作りが難解なのはもちろんですが、何が特に難しかったかと言うと…「農業」について、だそうです!「私たちはエンジニアなので、農業に関する知識や理解が全くなく、実際に作っている所を見たり、プロに色々と聞き勉強しました」と Arron さん。その知識をどうテクノロジーに反映させるか、様々な分析を重ね、システム作りに活かされたそうです。例えば、各野菜が育つにあたり、最適な温度や湿度にするためのコンディションをどうコンピュータが理解できるようにするかという例をあげますと…A と B を組み合わせたら C という機能ができるという数式でシンプルにコントロールできるようなものではない、自然のコンディションをどうシステム化させるかが非常に難しく、特にfoop 内が完全に密封されているわけではないので、ファンのスピードを上げても温度や湿度が確実に下がる保証はなく、ファンと温度調節など、二つの違った機能の相互関連性のシステムを作るのがとてもチャレンジだったそうです。農家の方が野菜の状態をみて、水が必要だと理解し、水を与える判断をすることは人間にとってはとても簡単なことですが、同じ事をコンピュータにさせるためには非常に難しいのだそうです。人間って本当に複雑な事をいとも簡単にこなせる、すごい生き物ですね…
【目的はユーザーエクスペリエンスの向上】
また、利用者はプロの農家の方ではないので、野菜を育てることが楽しくなるよう、過度にならずに適度な情報をアプリで伝えることや、表示を極力シンプルにすることでユーザーエクスペリエンスの向上につとめたそうです。例えば、LED の光量を多くすれば野菜は早く育ちますが、そうするとまぶしすぎて日常の生活空間にはそぐわないですよね。foop の目的が野菜を早く沢山作るということではなく(だとすれば買えば良い訳ですし)、野菜を気軽に楽しく育てる経験を提供することだったので、ある程度人間のケアが必要になるよう、管理機能を完全自動化にせず、でも野菜を育てる事がストレスにならないように。
【複数のプログラミング言語の使用】
通常の家電製品に使用するプログラミング言語は1つだそうですが、(多くても2つが最多)foop は4つを組み合わせているそうです。これはとても珍しいそうで、なぜかというと、大抵のエンジニアにとって新しい言語を学ぶのは時間も理解も必要になってくるという事実もあり、使いなれた言語1つを使用し、それを修正・開発してシステムを作成していくのが通常だそうです。T2T さんは従来のプログラマーやアプリディベロッパーと違って、それぞれのコンディションに適した複数の言語を組み合わせて、改良していくことで多くの難題を解決されたということです!
スマートフォン1つで簡単に管理ができる foop の凄さの背景にはこうした様々な想いや、新しい事への挑戦などがあり、全く新しいプロダクトのシステムができあがったのですね!
開発秘話は 8X8 アイコンデザイン・ BloombroomDesign さん…と続きます!お楽しみに♪